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● 2005年09月17日 読売新聞
犬が人のがんを見つける。にわかには信じがたい話だが、千葉・安房白浜にあるNPO「OJPC福祉犬育成協会」育成センターを訪ねてみた。
佐藤悠二支部長は、水中救助犬や捜索犬などを育てているベテラン訓練士。「がん探知犬」は現在、ラブラドール・レトリーバー3頭がいる。探知術を覚えたての1歳犬パールの訓練を見せてもらった。
壁際に箱四つを間隔を空けて並べる。その中に、封筒大の袋を入れておく。袋の中には人の息が入っており、ひとつだけ肺がん患者の息。袋は気密性があり、人の鼻では全くにおいは感じない。
パールには、まず食道がん患者の息をかがせる。においを覚えたパールは箱に鼻を近づけ、肺がん患者の箱のところで「ワンワン」。数回試みて、すべて正解だった。
イヌの嗅覚(きゅうかく)はヒトの数万倍といい、麻薬探知犬はよく知られている。パールは、部位にかかわらず、がんに共通のにおいを覚えているらしい。では、におい成分は何か。残念ながら研究は進んでいない、佐藤さんは「それが解明できれば、安価な診断キットの開発につながる」と期待する。
日本では関心は低いが、海外では約15年前から、犬の嗅覚によるがん発見例が報告され、昨年9月にも英医学誌に、膀胱(ぼうこう)がん患者の尿を犬がかぎ分けるとの論文が載った。
イヌの嗅覚に詳しく、佐藤さんの助言役でもある明海大の外崎肇一(とのさきけいいち)教授(口腔(こうくう)生理学)は「世界的には、どこの国が立派ながん探知犬を育てるか、におい物質は何か、など注目されている」と話す。愛犬が飼い主のがんを発見する時代が到来するだろうか。
2005年9月17日 読売新聞