口臭には、
(1)誰にもある「生理的口臭」と、
(2)虫歯や歯周病、胃腸などの病気が原因の「病的口臭」
の2種類がある。
口臭がないのに、あると強く思いこむ人は「口臭恐怖症」と診断される。
生理的口臭の原因物質には、腐ったゆで卵のようなにおいの「硫化水素」や、歯周病の人に多く、腐ったタマネギのようなにおいの「メチルメルカプタン」などがある。
| 生理的 口臭 | 起床時口臭 | 朝の寝起きに発生する口臭 |
| 空腹時口臭 | お腹がすいているときにも発生しやすい | |
| 緊張時・疲労時 口臭 | 緊張時や疲労時にのどが渇き発生しやすい | |
| 妊娠時・月経時 口臭 | ホルモンの変化による口臭 | |
| その他 | タバコによる口臭など | |
| 病的 口臭 | 口腔内疾患 | 虫歯・歯周病・歯垢・歯槽膿漏・舌苔など |
| 消化器系疾患 | 胃潰瘍・十二指腸潰瘍など | |
| 呼吸器系疾患 | 慢性化膿性気管支炎・肺壊疽など | |
| 耳鼻咽喉疾患 | 蓄膿症・臭鼻症・鼻炎など | |
| 代謝異常 | 糖尿病・白血病など | |
| 口臭恐怖症 | 口臭がないのに、あると思いこむ | |
以下の物質が口臭の三大原因物質といわれている。特に、前者ふたつで約90パーセントを占めることと、その臭気の強さから、昔から口臭の犯人とされてきた。
- (1) 硫化水素
- (2) メチルメルカプタン
- (3) ジメチルサルファイド
硫化水素は腐卵臭、メチルメルカプタンは腐ったタマネギのにおいと表現されることが多い。
●口臭の主犯は細菌
口臭は口の中の細菌の働きで発生する。
口の中には、虫歯の原因のひとつとされるミュータンス菌をはじめ、500〜600種類の細菌が計30億〜50億匹もいるとされる。
口臭の原因となる細菌は、主に舌の奥の舌苔(ぜったい)に住みつき、はがれ落ちた口腔(こうくう)粘膜細胞や食べかすなどをえさにしている。これらの細胞がたんぱく質を分解したときに発生する硫黄分を含むガスが、口臭の原因だ。
●歯垢は細菌の塊
歯の表面に付着する白くて柔らかい沈着物を歯垢(プラーク)という。これは口の中の食べカスをエサにして増殖した細菌の塊だ。
歯みがきもせず、歯垢を放置しておくと、唾液に含まれるカルシウムを吸着して石灰化する。これが歯石で、約2日間で歯垢は歯石に変わってしまう。こうなるとブラッシングしてもなかなか落ちない。
歯垢や歯石は、虫歯・歯周病の原因である上、口臭を発生させる。
●口が渇くと、くさい
ふだん別にありがたさを感じない唾液が、口内の細菌を溶かしたり、細菌を殺菌して口臭を防いでくれる。したがって、唾液が少なくなると口の中が臭い出す。
朝の起き抜けのときの臭さが起床時口臭と呼ばれ、寝ているときに唾液の分泌が止まったために発生する。特に、就寝中に口呼吸する人や、イビキをかく人は唾液が乾きやすく、口臭が出やすい。
同様に、お腹がすいているときの空腹時口臭も、口の唾液が少なくなり、細菌が悪臭原因物質を作りはじめることによるものである。
緊張したときや疲れているときにも唾液が出なくなり、のどが渇いてくる。この、場合も口臭が発生する。
●タバコの吸い過ぎにご注意

タバコも口臭の原因であり、口臭を隠すつもりでの吸い過ぎは逆効果で口臭を強める。
●女性特有の・・・
女性特有の口臭がある。これは妊娠したときや、月経時に口からネズミのようなニオイであるとかタマネギのようなニオイを出すもので、ホルモンの変化が原因と考えられる。性周期にともなうからだの変化が口臭に影響を与えていることは確実だ。これは病気ではないが、女性にとっては避けられない口臭だ。
病的口臭の原因としては、口、咽喉頭、食道、胃および肺などの壊疽(えそ)性変化のある潰瘍(かいよう)、臭鼻症(しゅうびしょう)、副鼻腔、蓄膿症(ちくのうしょう)、慢性胃炎などがあげられる。また、糖尿病や尿毒症などのときには、吸気に特殊な臭いがあるので、口の中に原因がない場合には、そのほうの診察を受けることになる。
●基本は歯磨き
とにもかくにも口の中を清潔に保つことが大切で、歯磨きをキチンとすること。
また、定期的に歯科医院で歯垢や歯石を取ってもらうことも良い。
◆「歯ブラシの選び方からブラッシングのしかたまで」はこちら。
●歯ブラシだけでなく・・・
歯垢や歯石がたまりやすい歯と歯茎の間や、歯と歯の間などを歯ブラシだけの掃除では不十分だ。歯ブラシだけではなく、デンタルフロスや歯間ブラシを併用するとよい。
歯と歯のすき間が小さい人はデンタルフロスを、比較的すき間が大きい人は歯間ブラシが良いだろう。
●食生活の改善
口臭予防には、アルカリ性食品を多く摂るように心がける。アルカリ性食品の代表は、カルシウム、ナトリウム、カリウムを多く含む緑黄色野菜や海草類だ。
塩分や糖分を控え、油は良質の植物性油にして、香辛料など刺激物やニオイの強い食品はできるだけ控える。
食後には、口臭予防効果のあるポリフェノールを多く含む緑茶や紅茶を飲むと良い。
●口が乾かないように。
口臭原因のひとつに口の乾きがあった。それを防ぐためにできるだけ唾液を出すようにしよう。こまめに水分をとって、口の中をうるおわせよう。

唾液の分泌を促進するガムをかむのも効果的だ。(糖分が含まれていないガムを。)
いつも口が開いていて、口呼吸していると口が乾きやすく、細菌が繁殖しやすいので、できるだけ口を閉じて鼻呼吸をするようにしよう。
●速効の口臭ケアには・・・
いまは街ののあちこちで、ミントの香りの錠剤や消臭スプレーのような、いいにおいで悪いにおいを隠す口臭ケア商品がいろいろ手に入る。これらは、気になる口臭を早めに隠すには便利だ。人に会う前のマナーとしても好感が持てる。
しかし、これでは悪臭物質は取り除けないうえ、効果の持続時間も短い。
悪臭物質に直接結合し、においを抑える働きがあるのが塩化亜鉛だ。
◆塩化亜鉛の3つの効果
(1)悪臭と結合し消臭
(2)細菌のえさとなるアミノ酸と結合し、悪臭発生を阻害
(3)細菌がたんぱく質を分解する働きを阻害
塩化亜鉛配合の対策グッズが有効だ。塩化亜鉛には、細菌のえさになるアミノ酸と結合して口臭の発生を防ぐ効果や、細菌自体の働きを抑える力もあり、口臭防止効果の持続につながる。
●舌のお手入れも有効
舌の奥に白い膜のようにたまった舌苔(ぜったい)を歯ブラシで取り除くのも有効だ。ただ、舌の表面はデリケートなので、ふつうの歯ブラシで舌をこすると、小さな出血が生じる恐れがある。舌ブラッシング専用の舌ブラシやクリーナーを使うとよい。
または、清潔なガーゼやタオル地のハンカチを指に巻き付けて、優しく舌苔を拭き取ることも効果がある。
舌苔の掃除は、週に1回が目安だ。あまり頻繁に掃除すると味覚障害を起こす危険性もあるので注意が必要。
●本当に口臭ですか?
いろいろ試してみて、どうしても口臭が気になる人は、「口臭外来」という口臭の悩みに応える医療体制をととのえている大学病院や歯科医に行くとよい。
どうしてもまったく原因のないのに、本人だけが口臭を過剰に意識することがあるが、この場合には心療内科的治療が必要。

